balideki’s diary

主に韓流ドラマや映画を見て感じたことなどを人生と絡めながら書いています。ネタはばれますのでご注意を

『未成年裁判』

Netflix配信の「未成年裁判」

いや、一気に完走。

見ハマってしまいました。

しかし、感想を簡単に言葉にできないほど、

感じるもの、考えさせられるものが多いドラマでした。

 

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圧巻のキムヘス

「未成年裁判」というタイトルを聞くだけで、

ある程度の年齢の方は、その中身が、

これまでに見聞きした、未成年の起こした凶悪な事件などから連想して

どうも釈然としない、遣る瀬無い、腑に落ちない、気が沈むみたいな

ものが湧いてくるのは想像できるんじゃないでしょうか。

このドラマの中の事件も、実際に韓国内で起きた事件をモチーフに、

創られているという記事を読みました。

 

社会問題的に思うところは本当にたくさんあります。

それを混ぜてドラマの感想を書こうとしたんですが、

考えがまとまらず、また、どうしても気持ちが沈み、

何日もこのページを開いたまま、書けませんでした。

なので出来るだけ、あっさり行きたいと思います。

 

 

まず、ドラマの見どころですが、

主人公シム・ウンソク役のキム・ヘスさんの醸し出す空気感、その迫真の演技!

そして、他の俳優陣も演技力がほんと高い。

タイトル通り未成年裁判なので、子役を演じた子(人)達も、

驚くほど、この子達本当に非行少年なんじゃないかと錯覚してしまいます。

チャ判事役のキム・ムヨルさんはあまり知らなかったけれど、

判事としても人間としても中途半端なところにいる感じを、

静かに表現しているし、

部長は、未生(ミセン)のイソンミンさん。オ課長!。

物語が展開していく中で、

ちょっとした表情からもその胸の内の複雑な思いが見て取れます。

意地悪部長の、イ・ジョンウンさん。

よくそんな意地悪に狡猾な振る舞いができるなと言いたくなるような・・

 

そんな感じで、演技力と、

これは常々、韓国ドラマの凄いところだなと思うんですが、

一話一話の時間がきっちり決まってないから、

間を持たせるところは、しっかり間を使うので、

その時の感情をこちらもしっかりと感じ取り、味わうことができるので、

ドラマの描き出すその世界に、どっぷり連れていかれます。

未成年裁判』予告編 - Netflix - YouTube

 

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ドラマ冒頭からイ・ヨンのこの表情に飲み込まれる

 

あらすじは、どこかで拾っていただくとして、

主人公シム・ウンスクは、判事という判断を下す立場でありながら、

被害者家族の立場でもあり、

子供を失った抱えきれないほどの悲しみと憎しみ、

それと引き換えられない判決と、その手法、

犯人である未成年者やその親、判事の態度、

事件への向き合い方、誠意、反省、その後の生き様、

それら全てを胸に、腹を決め、理解者が居ない中で孤軍奮闘。

隣にいるチャ判事が、唯一彼女を理解しようとするけれど、

心を開かないシムウンスク。

その胸の内にあるものは・・・

 

もう兎に角ぜひご覧ください。

 

こういう問題は、きっと世界中の多くの国で、

問題となってるんだと思います。推測だけど。

犯罪が低年齢化して、凶悪化して、

それを裁く法は、後追いの状態。

それはある程度仕方のないことだけれど、

個人的には、何歳でも、幼稚園児であろうと何歳で在ろうと、

人を殺してしまったりしたのなら、

大人と同じ量刑が妥当だと思う。

プログラムは、もっと、違うアプローチで育てていく。

 

ドラマの中にありましたね。

「子供一人を育てるのには、村が一つ必要。

 みんなが無関心なら一人の子供がダメになる。

 (中略)

 非難する資格はない。皆が加害者。」

 

 

この地球上で起きていることで、

自分と関係ないことはなに一つもない。と私はわかっている。

だ、けれど、それをすべて考えたり感じたりして生きるには、

なかなか日々はキツク、

自分と他者を分けようとすることで身を守っている。

 

 

実際問題、ドラマの中で、離婚した元旦那さんのお姑さんが、

「全部あんたが悪い。」と、全ての責任を擦り付けようとしますが、

同じ経験が私にもあって、その記憶だけですら、

彷彿させると、その時の憤懣が思い出されて、

大局を見る目がどこかへ飛んで行きます。

旦那さんが謝りに来て、「問題はあなただ。」というシムウンスクに、

痛く共感したり、また思い出したりね。

ドラマを見るだけでも、ドラマと自分を分けないと、

同調しすぎてつらい、そんな世の中で、

非行少年にかかわりたくない、どうにかして助けたい、

しかし・・(我が身可愛い)がほとんど。

そこをシムウンスクは、行動する。

それは・・ドラマの最後の台詞、きっとそうだからでしょう。

しかし、だからこそ正したい、だからこそ終わらせたい。

 

うーん。

 

 

話が展開していって、10話の最初の部長とのシーンは、

なんとも見ごたえがあります。

そして、チャ判事に、静かに色々語る、シムウンスクも、心に響きます。

「真実は何であれ事件は決着する。」と軽々しく言ったチャ判事に

シムウンスクが話した言葉など、チャ判事の未熟さと、

シムウンスクの決意、信念がそこに浮かび上がります。

他にも、「誰もが被害者になりうる。」など、

短い言葉の中に、差し迫るものが。

 

 

不完全な人間が作る不完全な法を運用する不完全な人間社会。

その不完全な法の中で、

可能な限りの善と全を尽くそうとする、一人の信念。

それは、不完全さの暗雲の中を走る一筋の光の様。

その光が間違いを正し、非行少年を正す、そう信じて。

 

そんな感じでした。

社会とは何だろう。

どんな社会で皆んな生きたいの?

 

全ての人が愛に包まれて、愛そのものの姿で生きるような、

頭じゃなくて、ハートで生きるような、

そんな世界はこの世にはないと絶望したことも昔あるけれど。

それでも・・・。

 

そんな感覚。

面白いという表現は似つかわしくない。

見ごたえあり。

多分、考えてみることが大切。

まだの方は是非。

 

 

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真っ直ぐに