balideki’s diary

主に韓流ドラマや映画を見て感じたことなどを人生と絡めながら書いています。ネタはばれますのでご注意を

パラサイト 半地下の家族

2021。01。01

 

一人きりのお正月。

ドラマより映画だよね、と、ネットフリックスで配信の始まった

「パラサイト、半地下の家族」を見てみた。

何かの賞を取ったとかで、話題になっていたよね。

 

でも、お正月早々、こんな映画でいい

 

のか?

もっと、明るい希望を抱くような映画を見ては?と思いつつも。

 

前評判や、どこかで読んだ記事にあるように、

半地下という陽のあたらない場所に住んでいる家族が、

お金持ちの家にどんどんパラサイトしていくという話だけど。

半地下は、もちろん、陽も刺さないような薄暗い部屋=

社会的にも陽の当たらない場所にいる人たちの話だろう、と思ってみたけど

 

感想、結論からいうと、そんなに面白い映画ではなかった。

面白いというか、おそらく監督が動かしたかった場所の感性は、動かなかった。

 

だけど、一番恐ろしさを感じたのは、

半地下で暮らしているその場所は、消毒がまかれたり、立小便をしたり、

ゴミが、Wi-Fiが、というなかで、四人の家族が、

余りにも淡々としているところが、不気味で仕方がなかった。

 

普通なら?普通ってなんだろうはさておき、

もうこんな環境は嫌!、どうにかしてよ!など、

キレるキャラの人がいることが、こういうシチュエーションだと多い気がするが、

そうじゃないんだよね。

四人は、淡々と、その環境を受け容れつつも、虎穴を探していた。

「計画があるんだな。」

という、このセリフが、効いてた。

 

家族は、その環境を受け容れつつも、

いつかここから這い上がろうとかするのではなく、音もなく静かに、

お金持ちの家の、穴、この場合奥さんの抱く不安だけど、

そこにすーっと入り込んでいく。

 

こういうのは、穴というより、「孔」。

そして、その孔は、入り込んでいく家族四人の方が、

もっとすごい「孔」を持っている。

こういう「孔」を持っている人って、本当にいて、本当に恐ろしいんだ・・

 

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パラサイト 半地下の家族   幸せ 少しいただきます。

 

それはまだ、私が優しかったころ、(笑)

そして、まだ私が癒されず、内側のトラウマのに苦しんでいた頃、

 

自分がそうだと、困っている人を見捨てられない。

何故って、自分が見捨てられたくないし、助けてほしい、

自分の存在意義が感じられないから、

少しでも誰か必要としてくれる人を、

無意識に探して引き寄せてしまう。

そんな仕組みも知らず、そういう現象が沢山起きて困っていたある時期。

 

 

もとより情が深くて面倒見がよかった私は、

友達の間でも、母の役割をすることが多かったし、

頼まれるとノーも言えない。

自分を押し殺してでも相手の要望をかなえようとしていたし、

何より相手の気持ちを察するのが得意なHSPだから、

すぐに相手に合わせに行ってしまうので、

それは相手からしたら、何も言わずに自分の欲しいものが、

「はいどうぞ。」と目の前に差し出されることになる。

 

すると、それはどんどん、相手にとっては当たり前になっていくから、

どんどん要求は強くなる。

こっちは、最初のうちは、気の毒だとか可哀想だ、とか、

同じようにつら想いを抱えている人、というカテゴリーだけど、

普通にここで、やってもらったら、こっちもやってあげる、

お互い様精神が働くと、いい友人になったり、

励まし合ったり相談相手にもなるところだけど、

時々、どんどん、無意識にもっとくれ、もっとくれ、

とこれまで押し隠してきた欲望が、前に、上に浮上してきて、

際限なくなってくるひとがいる。

 

ある人がそうなったときに

 こっちは、相手に合わせてしまうけれど、

多少なりとも無理していたり、一人になったときに、どっと疲れたりするから、

だんだん、これ以上は無理だと自分の限界が見えてくる。

だから、少しずつ、その人も満たされただろう、

自分でも、どりょくしいや、などと諭しても、もう無理。

一度表面に上がってきた欲望は、

エスカレートしていく・・その時に、その人を見ながら、

「まるでブラックホールのようだ・・・」

「孔だ。孔が開いている!」と、思った。黒い穴が見えた気がしたんだ。

 

それはまるで、本来そこに在るべき魂が、欲望にのみこまれ、

影も形もないような、状態にも見えたし、

天の邪鬼、まるで邪にまみれた子鬼が、そこに大口を開けて、

目の前の物をすべて吸い尽くしてしまう、

その場合、あたしを、あたしが提供している人間愛や友情や母性を、

全部飲み込んでも、この人はまだ足りないで欲しがるだけで、

そんな自分には、全く気づかないんだ、と

と、ある人を見てすごく怖く、恐ろしくなった頃がある。

「人って、なんて・・」と当時の私は思った。

 

 

だから映画のキャプションにある、

「幸せ、すこしいただきます。」は嘘だと思う。

そして、これが、この家族は、不思議な連帯感と家族愛をもっているから、

余計に止まらないと思う。

目的を一にした集団はこれまた恐ろしいから。

 

映画の中では、もともとお金持ちの家にパラサイトしていた人との、

奪い合いが起きて、破滅へと向かっていったけれど、

もしその元々のパラサイトが居なければ、

全て吸い尽くしたんだろうな。

今書きながら、そう思った。

 

パラサイト 半地下の家族 Parasite(Gisaengchung) : 映画!That' s Entertainment

 

そしてもう一つ、これは映画を見ながら、思い出して

凄く嫌で仕方なかったんだけど、

「匂い」

 

大雨で半地下が水浸しになって、下水も何もかも上がってきて、

それもすごく嫌なにおいがしそうだと思うだけで眉を顰んだ。

男の子が言う、四人から漂う共通の匂い。

「半地下の匂い」。

 

昔、京都に住んだ時に、古い戸建てを借りていた。

ある日、キッチンの水の流れが悪く、洗面所まで音が響くことに気が付いた。

すると、ガレージスペースにあるマンホールの一つの淵から、

水があふれだしていた。

調べてみると、キッチンの油分や洗剤などが固まって、

マンホールから下水の本管への道が、詰まってしまうことがあるそうだ。

出口が詰まっているので、マンホールの中は水があふれている。

掃除の方法を調べて、やってみたが、なかなか取れない。

むきになって、ブラシや棒を使い固まったものを砕いていたら、

ゴム手袋の中に、その水が入ってしまった。

が、ムキになっているので、そのまましばらく続けた。

このマンホールはキッチンと洗面所とお風呂の排水だけだし、

うちの日用品はほとんどオーガニック・・

 

しかし、洗っても洗っても、匂いが取れない。

どれだけ洗っても、排水の匂いが・・

翌日業者さんに来てもらって、お姉さんにその事を話しだたら、

「取れないでしょ。あれ、ほんと取れないのよ。ゴム手袋していても。

 気にならなくなるのに、数日かかるよ。」

「そうなんや・・・。」

 

 

映画の中で、大雨が下水から跳ね上がって、

ばんばん体にかかっていた。

トイレの水も、逆流していた

だから、それらを見ながら、その京都の家の玄関先のマンホールと、その匂い。

半地下に住んでいたら、どれだけそれが体に染みこんでいたか、

そんなことがリアルに想像できてしまったことが、

最後の、お金持ちのご主人が、パラサイト父に鼻を曲げたことも、

自分からも、まだあの匂いがしてしまうんじゃないかという錯覚と、

それに対しての嫌悪感で、無意識に方がすくんでしまう。

パラサイト父が、そこでキレた理由も、

あんなお金持ちでもなく、

半地下に住んでいるわけでもない私だけど、

何だか変なところで、記憶が重なったことで、

両側から、やたらリアル感をもって見ることになってしまった。

 

だけど、一番穴が開いてたのは、お金持ちの家の奥さんかもしれない。

完璧に満ち足りているからこそ、穴に感じて、

入ることを赦してしまったのかな。

 

『計画を立てると必ず人生その通りに行かない。』

 

俳優さんたちの演技力は最強だった。

パクソジュンのカメオ出演に、顔がほころんだ。

昔、パラサイトイブという小説を途中まで読んで怖くてやめたことを思い出した。

パラサイトするキム家が、家主がお無い間に家の中を自由に使っているのを見て、

昔何かのテレビで、鶴瓶さんがハワイの別荘に行ったら、

メインベッドルームで、お手伝いの家族がみんなで寝ていた、

と話していたのを思い出した。

 

そんな映画でした。

身近にも、同じようなことは沢山転がっているかも。

うん。こわい。